3. 厳格な子育ての根源にある考え方とは?
身内の結婚式や昼間のパーティーでは、幼い子どもも一人前のゲスト。フランスの子どもたちはいたずらをしたり泣いたりして、親を困らせることはないからだ。なぜ、フランスの子どもはお呼ばれの場でおとなしくできるのか。
「レストランやパーティーなどでは、子どもは大人たちに迷惑をかけてはいけないと徹底的に叩き込まれているから」
自宅でも人前でも四六時中「騒がないで」と注意するのではなく、騒いでいいときとそうでないときのメリハリをつけたしつけの習慣があるのだ。
「人前でいい子にしていられるよう教えるのが大人の義務。おとなしくできないような子どもは、人前に出すなが鉄則です」
「性悪説を前提に育てる」のもフランス人。例えば、子ども向けの昔話や童話は、日本ではハッピーエンドや正直者が最後には救われて終わるものが多いが、フランスではラ フォンテーヌの寓話のように「だますよりだまされるほうが悪い。正直者はばかをみる、といったシビアな教訓に終始しています」。
愛情のあり方はさまざま。子どもは親の保護のもとで育てる日本に対し、幼いうちに世間の厳しさを教え諭すのがフランス式といえそうだ。
神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒業。生活文化研究家。20年間のパリ滞在経験を通じ、フランスおよびヨーロッパ全域を対象に取材、執筆を続ける。近著に『人生後半をもっと愉しむ フランス仕込みの暮らし術』(家の光協会)。
イラスト=ヨーコチーノ