2. なぜか、事実婚から正式な結婚ブームへ
フランス人は、結婚にはこだわらない。いわゆる「パートナー」として生活を共にするカップルも多いと聞く。
1999年に連帯市民協約(Pacte Civil de Solidarite、通称PACS)、「同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約」が採択されてから、この略式結婚が主流だった。さまざまな形態のカップルが夫婦として認められ、婚姻より規則が緩く、同棲よりも法的権利などをより享受できる新しい家族組織を国家として容認する制度で、2人の間の子どもや養子は婚姻した夫婦の子どもと同じ権利を有する。
ところが近年、正式婚への流れに潮目が変わったと吉村さんは言う。2002年に週35時間労働制が定められ、「子育てがしやすい環境がより整ったことも、一因だと思います」。
そもそもフランスでは、子育てに対する考え方が日本とは大きく違う。例えば、週末の朝は父親が買い物に出て遅めの朝食を用意するのが一般的。吉村さんが結婚式やパーティーに参加すると必ず、どこかの父親がごく自然に赤ちゃんとおむつを持ってバスルームに消える姿を目にしていたという。「2人の間の子どもなのだから、父親も育児をするのが当然なんですね」