【対部下編】自分の感情を満足させようとしない

上司や同僚とは違い、部下に対しては厳しく叱責したり、命令したりしなければいけない場面があるが、両人とも共通して指摘するのは「自分の感情を満足させようとしないこと」である。

イラスト=米山夏子

「たとえば部下がミスをしたときに、『どうして?』とか『いままで何をしていたの?』といった言葉で部下を責めても、何の生産性もありません。男性部下にとっては、苛立ちをぶつけられたと思うだけ。すべきなのはミスを挽回すること。そしてどうすればいいかを部下の口から言わせること。過去のことを注意するのは、それがすべて終わってからのことです」(NHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー 吉田照幸さん)

世田谷ビジネス塾塾長の古川裕倫さんも「頭がよくて弁の立つ女性ほど、相手を徹底的に糾弾しがち」と警告する。

「『私は前にこう指示したわよね』『あなたはこう説明していたわよね』と言質をとって逃げ道を塞ぎながら、部下を徹底的に論破しようとする女性がいますが、これも結局は感情の発露。相手の出方次第では感情的になって『あなたは最低の人間ね!』と人格否定になってしまうことも。大事なのは自分の意見を部下に伝えることで、相手を屈服させることではありません。逃げ道をつくり、大事なところ以外は相手に譲る余裕も必要です」

せっかく正しいことを話しても「女は感情的だから」と部下に陰口を叩かれるようでは、優秀な上司とはいえないようだ。