CASE7:遺言書があるのに「認知症だった」と言いがかりを……
母が認知症の末に亡くなりました。認知症になる前に書いた遺言書があるのに、その内容に不満があるのか、妹2人が「認知症のときに書いたから無効だ」とつつき始めて大もめ。
「お母さんは脅されて書いた」とか「お姉ちゃんにだまされた」とか言いたい放題。遺言は絶対だと思うのですが、ここまで責められると、さすがに自信がなくなります。どうすればよかったのでしょうか。
●トラブル予防策
認知症になると基本的に遺言書は書けないので、書くなら兄弟皆が認知症じゃないと認めているときに書くのが原則。ちょっと危ないなという状態なら、あとから争いになったときのために医師の診断書をとっておくとよいでしょう。認知症ではないという証明があれば裁判で争ったときにも有利です。いずれにしても認知症はいつなるかわからないので、遺言はなるべく早く、元気なうちに書くことです。
CASE8:相続税を減らすために生前贈与していたのに財産とみなされた!
生前、父は相続税を減らすために孫である私の子どもの通帳を作り、そこに贈与税がかからない110万円を毎年振り込んでくれていました。亡くなった後その事実がわかったのですが、税務署にはこれは贈与ではなく預金と判断されて、年間110万円×10年間=1100万円分が相続財産とみなされてしまいました。10年かけて父がコツコツとしてきた相続税対策が水の泡。どうすればよかったのでしょう?
●トラブル予防策
相続税を減らすために生前贈与していたのに、結局、相続税がかかってしまうという“相続あるある”です。このケースのように通帳と印鑑はおじいちゃんが持っていて、孫は知らなかったという場合は「名義だけが孫で預金はおじいちゃんの分でしょう」と税務署からは見られてしまいます。通帳と印鑑は孫かその親に渡し、ちゃんと孫が使っていることがわかる形跡を残しておくべきでしたね。