CASE3:母が認知症。亡くなった父の遺産をどう分ける?

イラスト=死後くん

父が他界。相続人は母と長男の兄、長女の私、次女の妹の子ども3人になりますが、母は認知症で入院しています。認知症になると相続人になれないと聞いたことがありますが、本当でしょうか。

現在、子どもは全員家を出て、別に住んでいます。母は病院にいるため、実家は空き家状態。遺産分割するとしたら、この家を売却したお金と、父の預貯金1000万円になります。母が認知症になる前に父に遺言を書いてもらったほうがよかったのでしょうか?

●トラブル予防策
認知症になると遺産分割協議ができないこともあるので、成年後見人を立てなければなりません。しかし、そうすると家庭裁判所が遺産分割に関与するため基本的には、法定相続通りに分割するしかなくなってしまいます。成年後見人をつけなくてもいい状態なら、故人の希望通りの相続ができたかもしれないのに、認知症なばっかりに本意でない相続をすることになってしまった。これも遺言があれば回避できたケースです。

●成年後見人は、どうやって立てる?
成年後見人は本人の保護や支援の必要性に応じて家庭裁判所が選任します。実際は本人の親族か弁護士、司法書士がなるケースが多いよう。利用する場合は本人の住所地の家庭裁判所に申し立てます。

CASE4:子どもがいません。夫の死後、夫の兄弟から請求が!

イラスト=死後くん

夫婦2人で夫名義のマンションに住んでいました。子どもはいません。夫が亡くなった後も、そのマンションに私一人で住み続けるつもりでしたが、夫の兄弟である義弟と義妹から相続分を請求されました!

2人で築き上げた財産なのに、なぜほとんど交流のない夫の兄弟にあげなきゃいけないのか、どうしても納得がいきません。マンション売却分に見合うお金を払えないので、マンションを売却するしかない……!?

●トラブル予防策
ご主人も、奥さんにすべて残したいという意思があったなら、そのように遺言に書いておくべきでした。遺言がなければ、実際、兄弟に遺産分割しなければなりません。兄弟に亡くなった人がいれば、甥や姪にまで遺産分割しなければならないので、やっぱり遺言は必要ですね。兄弟の場合、遺留分(法定相続人が最低限相続できる割合)はないので、遺言さえ書いておけば全額奥さんが受け取れます。

●一度書いた遺言書は撤回できない?
一度、公正証書遺言を書くと一生有効ですが、前回書いたものを撤回すると書けば撤回できますし、新規で追加分を書くこともできます。ただし1回書いたものは撤回しない限り有効なので、早めに書く場合は気をつけて。