フランスではかつて法律による規制が週40時間だったが、2000年代にオブリー法という法律が施行され、現在の法定労働時間は35時間。

ドイツには、週6日として最大48時間という法規制があるが、労働協約により、ほとんどの業種で週40時間以内に抑えられている。

オランダでは法律上は週60時間を上限としているが、現在の産業別労働協約では平均38時間。

デンマークも労使協約によって週37時間と定められ、シフト制で夜間勤務などに就いている場合はさらに短くなっている。

スウェーデンは、週最高40時間。フィンランドも1日8時間、週40時間。

イラスト=ハラアツシ

さらに、残業時間についても各国で細かく規制されている。

●最長労働時間は10時間/日、48時間/週、ただし、週の平均労働時間が連続12週間にわたり44時間を超えてはならない(フランス)
●1日の労働時間は10時間を超えないこと、6カ月ないし24週平均して1日あたり8時間を超えないこと(ドイツ)
●4週間48時間まで。または月最高50時間まで。ただし年間200時間まで(スウェーデン)
●残業は従業員の同意を得たうえで、暦年で最高250時間まで。ただし4カ月に138時間を超えてはならない(フィンランド)

わが国ではどうだろうか。日本でも戦後に労働基準法ができて、法定労働時間は週40時間となっている。ところが、時間外労働(残業)の上限基準を設定する法律は存在しない。36(さぶろく)協定を結びさえすれば、労働時間を雇用者側が延長できるシステムだ。これこそが、日本の長時間労働の大きな要因になっているといえる。