新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の流行で、大手企業や外資系企業を中心に時差通勤やテレワークを採用する動きが広がっています。その一方で、「管理できない」「社員がサボる」など、時代錯誤な声もちらほら。パンデミックの状況でも出社にこだわる日本社会ってどこかヘンなの?『病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ』(角川新書)が話題の医師、木村知さんに聞きました。
女性、マスク
※写真はイメージです(写真=iStock.com/AH86)

COVID‐19でわかった「ここがヘンだよ日本人」

前回の記事(医師が証言「一斉休校でも子供は公園で元気に遊んだほうがいいワケ」)でもお話ししましたが、COVID‐19は無症状から軽症、咳が長引くなどの中等症、そして肺炎や呼吸不全を起こしICU(集中治療室)での治療を必要とする重症まで、実に症状が多彩です。特に発症初期は一般的な風邪となかなか区別がつきません。ですから、在宅勤務やテレワークという働き方は、満員電車や人混み等での感染機会を減らすという意味で理にかなっています。

そもそもCOVID‐19に限らず、風邪やインフルエンザで辛いときは、仕事にならないのが当たり前。辛い間は身体を休めるしかないし、無理に出社をして周りの人に移すよりも休んだほうがいい。この極めて常識的な話が、なぜか日本では「非常識」扱いされてしまいます。

患者さんに無理をして職場に行っても集中できないし、咳き込みでもしたら同僚や仕事相手にも悪いよ、と指摘したところで「でも、やっぱり今日は休めません」と返事がかえってきます。いや、それはヘンでしょうと思いませんか。