風邪をひくのは「自己管理が悪いから」ではない

日本人はどうも休むことに「罪悪感」を持っているのではないかと思います。しかも50代以上の今の管理職層は、子どものころから「風邪でも絶対に休まない」ことを一種のステイタスのように刷り込まれた世代なので、「無理をしない方がいい」という真っ当な判断に対して「自己管理が悪い」と断じがちです。

しかし、COVID‐19やインフルエンザをはじめ、ウイルス感染症は、簡単に人から人へ移ります。「はってでも出てこい」などと言う上司がいたとしたら、はなから管理責任を放棄しているようなもの。「たかが風邪で」と反論されそうですが、風邪の8~9割は「ライノウイルス」や「コロナウイルス」「RSウイルス」といったウイルスによる「感染症」なんですよ?

一般に人間が一生のうちに風邪を引く回数は、およそ200回だと言われています。人生80年として単純計算で年に2.5回です。COVID‐19でも明らかなように、感染症を完全に封じ込めることはできません。集団で社会生活を営んでいる限り風邪をひくのは当たり前。決して個人の体調管理がマズいせいではないのです。

ドイツは6週間の「有休病欠」がある

ドイツでは普通の有給休暇(新入社員は24日間)とは別に「有給病欠」という制度があります。就労が不可能であると医師が判断した場合は、この制度に基づき会社が6週間まで給与を全額保障するので、給与付きで堂々と休むことができます。

その際の手続きも、初日に病欠の連絡を会社に入れることは必要ですが、診断書を求めてフラフラになりながら医療機関を受診する必要もなく、初日から3日目までゆっくり休むことができます。4日目以降は医師の「就業不能証明」を会社に提出する義務がありますが、病気について説明する必要は一切ありません。病気は個人のプライバシーですから従業員が使用者に対して説明しなければならない、というのはそもそもおかしいのです。

2019年1月9日、ドイツ大使館の公式ツイッターがこの制度についてツイートし、話題になりました。それによればドイツ人の年平均病欠日数は19日で、制度があるだけでなく、きちんと使えていることがわかります。万が一有給休暇中に病気になった場合も、条件を満たせば病欠扱いに変更できるそうです。たとえば有給休暇中にCOVID‐19に感染して2週間隔離された場合でも「有給休暇が足りない!」と焦らずにすむわけですね。

ちなみに、日本人の有給休暇(有給病欠ではありません)は、フルタイムの正社員が半年間勤務した後に10日間、その後は1年勤務するたびに1、2日増えますが、最大で20日間どまりです。仮に年2回の風邪で合計7日間休むと有給休暇の3分の1が消えてしまいます。