事業者の保育の考え方が重要
このように、現場の保育は、事業者の「保育のマインド」への理解度と、それに応じたお金のかけ方に左右されます。
事業者は、国や自治体から公費を受けて施設を運営していますが、それをどのように運用するかは事業者次第です。保育士の処遇改善が叫ばれ、今後徐々に処遇改善のための公費の上乗せがされる見通しですが、事業者がそれをどれだけ職員の賃金等に反映するかは、事業者の考え方によります。
「保育のマインド」をもり立てるには、処遇改善によってモチベーションを高めるとともに、事業者が保育の何たるかを理解している必要があります。子どもの発達過程に合わない早期教育などを売り物にしている事業者の施設では、現場の保育士は矛盾を感じながら子どもに無理をさせなくてはならず、苦労しているようすが見受けられます。事業者の経営幹部も保育所保育指針が説く就学前教育の意図を理解することが必要だと思います。
保護者の視線が事業者を変える
保護者が事業者の質を見抜くのは難しいと思います。ひとつ言えることは、パンフレットやホームページなど事業者のPRに惑わされず、現場の「保育のマインド」を見ようとすることが大切だということ。
入園後も、保護者と保育者の関係では、このことがとても大切になります。わが子を理解しようとする保育の姿勢に、保護者は強く支えられます。
保護者が「保育のマインド」を重視して選べるようになれば、事業者もそこで競い合うでしょう。今は保育施設を選べないような状況ですが、保護者の視線も事業者の姿勢に影響を与えると思います。