――保育所、介護施設の拡充のための財源について、どうすべきだと思いますか?

【江田】最近、軽減税率の議論が盛んですよね。そして、この財源6000億円をどこから持ってくるのかと。そうしたら、子育て中で所得の低い人に支給している手当を削減するとニュースに出ていて、一体誰のための政策なのかと首をかしげてしまいましたよ。

【山本】国として今どこにフォーカスして資金を投下するかを明確に打ち出せば、国民も消費税増税を受け入れるかもしれない。しかし、今の政治は選挙を意識して、皆にいい顔をするから、結局、政策がぼんやりしてしまう。

――「1億総活躍」の柱の一つ、高齢者雇用についてのご意見は?

【山本】私は人材関係の会社に勤めているのですが、60歳以上の方が職を求めてたくさんいらっしゃいます。でも、過去の経験ばかりを語って、未来志向でない人が多い。パソコン、スマホなどのITスキルもこころもとない。

――そうした人へのスキルアップを公的に支援する研修制度などが必要なのかもしれませんね。

【山本】それに、男性の「生活スキル」を上げる研修も公的にサポートしてほしい。

【江田】本当に。だって、多くの家庭では、女性が働いて、子育てして、家事をして、揚げ句に介護をしてと、負担が女性に集中しているでしょう。だから、安心して「2人目」も産めない。

【山本】いくら夫がイクメンを気取っても、実際やってもらうと茶わんは割る、干した布団は落とすなど、使えないことこの上ない(笑)。

【金谷】会社が社員のために「大人の家庭科講座」をやればいい。国には、その補助金を出してほしい。

【江田】時間を持て余しているおじいちゃんおばあちゃんに、地域の子どもの面倒を見てもらうなどの制度も拡充してほしい。

【山本】朝5時の公園で太極拳している時間があるなら、ね(笑)。

【江田】人の世話をすることで「活躍」できるし、自分の「健康寿命」も延びる。若年層と高齢者のニーズは合致すると思います。

■「新3本の矢」に関する要望書

新3本の矢につきまして、下記により要望いたしますので、宜しくご配意賜りますよう、切にお願い申し上げます。

(1)1億総活躍のためには、全員が生活(家事・育児・介護)スキルと仕事スキルを身に付けることが必須です。企業が社員向け生活スキル講座を実施する場合は、助成をお願いします。
(2)3世代同居を進めるよりも、社会の中で3世代にわたって手を組める仕組みづくりをお願いします。

以上 第10回 座談会参加者 一同