エリート“お仕事女子”こそ、ダブルスタンダードだ

「なぜ、うちの夫はこんなにも家事能力も育児能力も女の心理を読む能力も低くて、使えないのか」。社会のせいや、姑のせいにするのは簡単だが、答えは「彼らは私たちが選んだ男であり、私たちは彼らが選んだ女だから」なのである。社会趨勢に応じた“変化”や“意識改革”の責任は、男女双方にあるのだ。

結婚・出産後も一流企業でエース級のキャリアを継続するアラフォー女性が、他業種にいるエリート夫への憎悪の言葉を吐き、それを「超」のつくエリート夫と結婚した超エリートワーママが請けあって毒づき笑い合う場面に遭遇したことがある。でも、彼女たちはまずきっと離婚はしない。自分の代わりに“主夫”になってくれるような、稼げないし社会的ポジションもないけれど優しくて癒してくれる男を選ぶつもりも毛頭ない。“上昇”と“常勝”にとらわれているエリート女子の内部には、相反する価値観がなぜか自然に共存しており、賢い彼女たちはきっとそれに気づいているけれど、無意識のうちに押さえ込んでいる。そんなダブルスタンダードを抱えて生きるとは、男も女も、なんだか、ただ辛い。

河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。