「成長」という言葉の怖さは、それを自分で実感できない点にある

さて、冒頭のお題に戻ります。「成長せよ」と言われるとなぜ焦りを覚えるのか? 原因はいくつか考えられますが、最も大きいのは「成長そのものは、目に見えないことが多い」ことに尽きる気がします。

例えば、語学力のテストなど、スコアがはっきりしていて、いつも目に見えているものなら、成長が実感しやすいはずです。頑張った、できた、スコアが上がった、というシンプルな図式。しかし、業務において身についたスキルで成長を実感しろといわれても、それはなかなか難しい。そうなると、やることは1つ。自分で実感できる仕組みを作ってみることです。

まずは、日々の業務の“日記”をつけることをお勧めします。日報ではなく、日記です。毎日どんなことをやったのか、何が足りなくて、どんなことをすればより仕事ができるようになるのか……面倒だとは思うのですが、日々書き連ねてみてください。丁寧に一カ月も書けば、読み返すのに十分な量の日記がたまっているはずです。そこで一気に読んでみてください。

日々の気づきの中で、気付くポイントの変化。周囲からの評価の違い、必要だと思っているスキルやノウハウのズレやブレ。自分で書いた日記のいろいろを読むうちに、それに気がつくはずです。そう、そのズレやブレ、1カ月前と今のあなたとの違いそのものが、あなたの成長なのです。

成長を自分で見るためには、自分自身で自分の日々のことをより正確に知り、現在の場所との差を理解するより他ありません。わからないことはとても怖い、だから焦ってしまう。だとしたら、あなたがやるべきことはシンプルですよね。自分を安心させられるのは、自分自身だけなのです。

サカタカツミ/クリエイティブディレクター
就職や転職、若手社会人のキャリア開発などの各種サービスやウェブサイトのプロデュース、ディレクションを、数多く&幅広く手がけている。直近は、企業の人事が持つ様々なデータと個人のスキルデータを掛け合わせることにより、その組織が持つ特性や、求める人物像を可視化、最適な配置や育成が可能になるサービスを作っている。リクルートワークス研究所『「2025年の働く」予測』プロジェクトメンバー。著書に『就職のオキテ』『会社のオキテ』(以上、翔泳社)。「人が辞めない」という視点における寄稿記事や登壇も多数。