必要な人が採用できないのなら、いまいる人を育てるしかない

なぜいきなり、企業が従業員の成長に興味を持つようになったのか。そもそも国内の企業の多くは、それこそ真っ白なキャンバスのような新入社員を採って、一から丁寧に教え込み、企業の成長とともに、彼らが戦力になっていくというプロセスが大好きです。

最近は随分変わってきたという人も少なくありませんし、実際そういう変化はありますが、一方で、未だに昔ながらの人の育て方をするのが好きという企業も多いものです。しかし、ビジネスの流れが以前よりも何倍も早くなった昨今、たくさんの(ポテンシャルがあると思われる)人を採用して、ゆっくりと時間をかけて育てて、そのうち数人が戦力になるかもしれないという方針では、人が足りなくなってきたのです。

「だったら他所から採用すればいい」という声が聞こえてきそうですが、それもなかなか難しい。転職市場と呼ばれるマーケットは仕事を求めている人で溢れかえっていますが、企業が求める能力を持ち合わせているいう人は意外に少ない。採りたい人が採れないのです。

結果として、ある程度「できそうだ、成長しそうだ」という人を自社の中から見つけ出し、必要なスペックやスキルをなるだけ早く身に付けさせて、とりあえず戦力化させないことには、ビジネスが大きくならないという状態に追い込まれている企業が多い、というのが現状です。多くの企業は、人の問題でほとほと頭を抱えているのです。

さまざまな手段を使って育成することによって、企業は現状の従業員の成長に期待するしかない。厄介なのは、冒頭でも書いた通り、「成長することで、その人の人生も素敵なものになる(だから頑張れ)」というモチベーションの持たせ方をすることが多いという点です。これ以上深くは追求しませんが、仕事とそれ以外のこと(私生活など)のバランスや価値は、それぞれ人によって考え方が異なるので。ただし、企業は“とても巧妙に”やる気を持たせる術を知っており、それは皆さんの身近にも普通にあるということだけ、ここでは指摘しておきます。