組織とカルチャーが会社を決める
8年目の99年に会社派遣でスタンフォード大学のMBAに留学させていただきました。当時のシリコンバレーは、日本にはない活気があふれていました。ビジネススクールの同期は「卒業したらAmazonみたいな会社をつくろう」と大きい夢を持っていました。実はセールスフォース・ドットコムも99年に生まれたばかりで、同級生にサマーインターンを経験した人がいました。
01年に卒業するころには、医療や医薬のコンサルティングをやりたいなと思うようになっていました。上司には、三菱商事にもこういった部隊をつくるべきだと何度か打診したのですが、「今はうちが強いところしか手は出さない」と。もし私が、自分の可能性を探るのであれば転職してもやむなしと言ってもらいました。
それでデロイトコンサルティングのボストンのオフィスに入り、そこでビジネスプロセスのコンサルティングを手がけるようになりました。アメリカですと一人ひとり人種も言葉も価値観も違うので、仕事のプロセスをきちっと成文化しフローにしていかないと回りません。一方、三菱商事のような日本企業はマニュアルがなくても、あうんの呼吸で常に仕事のプロセスが回っています。それはすごいことだなと思いました。
結局、組織やそのカルチャーがビジネスを良くも悪くもすることがわかってきて、私の関心はだんだんと人材育成や組織開発のほうに移っていきました。日本に戻ってからはグロービスで組織開発の仕事をさせていただき、その後にフェデックスキンコーズ・ジャパン(現キンコーズ・ジャパン)に移り、さらにクラフトフーズ・ジャパン(現モンデリーズ・ジャパン)を経て2012年にセールスフォース・ドットコムに落ち着くことになります。