既に崖から足を滑らせた世代から、崖っぷちアラフォーへ

学生時代、男子も女子も就職するのが当たり前と教えられてきた。でも、どんなにこちらが恋い焦がれようとも、採用の門は狭く、欲しいと言ってもらえなかった。だからせっかく手にした今の仕事を手放したくない――ひょっとすると、今のアラフォー以下30代女性とは、現時点で日本史上最高にキャリアへのこだわりが強くならざるを得ない世代なのかもしれない。

だが女は、望むと望むまいと、卵子の枯渇という肉体的な絶対の現実を前にして、自己査定のやり直し、「性別:女」としての仕切り直しを迫られる。これは“社会的に刷り込まれた価値観”とかなんとかの問題ではない、肉体的な現実だ。年を取れば現実に体は変わり、精神が、思考が、その影響を受ける。先達の女性たちも、皆その道に分け入ったのだ。「産めなくなれば女の価値がないとでも言うのか!」という話ではない。誰もあなたに値付けなんかしていない。あなたに値付けをしているのは、本当はあなた自身だ。

40歳ともなったら、どんな人生の選択をしようともそれは自分のもので、自分の責任。親や社会や男のせいには、もうできない。職業人としての完成度を追求していくのも、あるいは次世代生産にエネルギーを費やすのもいい。しかしどんな道を選んでも、最終的にそれを“幸せ”にするのは自分なのだ。自分自身の女としての機能も含め、自分なりに持てるものを全開で使い切って、倒れこむ。その先にあるものが、後悔であるわけがない。そうは思わないだろうか?

河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。