崖の前で右往左往する、30代後半のアラフォー女たち
いま本当の崖っぷちにいるのは、間違いなくアラフォー世代の女たちである。すでに足を滑らせて落ちていった団塊ジュニア同様に、キャリアはどうするの、結婚するのしないの、産むの産まないの、「進まなきゃ」「でも」「怖い」「でも」と言い続け、「どうしたらいいの」とスピリチュアルに助けを求める。あげく世の中のせいにして社会派に目覚めているうちに、「背中を押してあげようか」「話を聞こうか」と助けてくれる親切な皆さんは「なんだ、狼少女(ババア)か」とさじを投げて立ち去っていった。峡谷を覗き込めば、ただ、体がすくむ。
アラフォー女に近づいてくるのは、甘言を弄して肉体と時間の搾取を企む不倫オヤジか、30代の“お姉さん”にビジネス研修や自己啓発の延長くらいの意識で興味を持つボクたち。思い描いていたようなハイスペック王子は来ない。っていうか生身の現世にそんな相手はハナから存在しない。男も女もお互い様、リアル世間はもっとベトベトでブヨブヨで臭くてネバネバでダメダメなものよ。知ってる、分かってる、でも、体が動かない。
前へ進む意思のある他のアラフォー女たちは、体力が残るうちに上の世代の屍を踏んでさっさと前進した。王子様じゃない現実の男と結婚するのでも、最後の断末魔でとにかくどうにかして産むのでも、なんでも。でも自分には、「これだ」と自分が人生の舵を切るための、納得できる理由も、雷に打たれるような出会いも見つからない。
……いや、だからね。アラフォーにもなって雷に打たれるような出会いがないと動けないなんてのが、そもそも体が動かない理由ですよね、多分。で、それってなぜなんでしょうね?