今の30代は超・就職氷河期経験者

お高くとまってなんかいない。でも、そう見えてしまうくらい仕事にこだわり、完成度を追求してしまうのは、彼女たちが就職活動で経験した氷河期のせいなのだろうと思う。「超就職氷河期」と言われた2003年の谷を経験した女子学生たちは、今年まさに36歳になる。嫌という程断られつづけ、自分という人間を欲しいと言ってもらえず、全否定される経験をした世代だ。

その谷よりは手前で就職できた30代後半女性も、後輩となる新卒採用がなくなり、自分は職場の「万年新人」として企業経済がどんどん痩せ細っていくのを、多感な若手時代に間近で見てきた。だから、仕事をしていられる、稼いでいられる状態を手放すなんてことは考えられない。それは「怖いこと」なのだ。ようやくキャリア上の安定へと漕ぎ着けたのに、結婚や出産で、相手の考え方や状況次第では働き続けられなくなるかもしれない、そんな不確定要素が怖くて嫌なのだ。だから「妥協したくない」のだ。

アラフォーは悠長なのではなく、不自由なのではないか。ずっと寒い部屋にいると体が冷え切って動かなくなるように、彼女たちはいざという時のために体力を温存しようとじっとしているうちに、いつしか動けなくなってしまったのではないか。そして景気が回復して後からやってきた世代や、あの氷河期をすっかり忘れたように振る舞う人々に「なぜ結婚しないのか、産まないのか、もうお前に需要なんかないぞ」と後ろ指を指され、責められているように感じてしまうのではないか。

一方、20代女性は、自分の人生が1人で完結するとは毛頭思っていない、思えないという社会状況がある。男女が同じように働き、稼ぐのは当たり前。夫婦どちらかが大きく稼いでどちらかが専業主婦/主夫になるなんて設定こそ夢物語だと思っている。1馬力で1000万稼ぐのではなく、500万ずつ2馬力で寄せ合って暮らすのが人生設計だ。そう考えたら結婚するのは当然のこと、いずれ子どもを持つのなら、キャリアの取り戻しが利くように早いうちがいい。それゆえの早婚志向なのだ。