番外編:親がリバースモゲージを利用し、家を処分す

相続する人が取る手段ではないが、親にその気があるのなら、自宅を担保に生活費を借り、亡くなった時にその家を売却して返済するという仕組みがある。リバースモゲージと呼ばれる方法で、金融機関、地域の社会福祉協議会などが行っている。

所得、不動産の評価額などに制限があるため、使える人は限定されるが、2013年以降手掛ける金融機関が急増、現在は地方銀行を中心に約30行が取り扱うようになった。三大メガバンクも手掛けているが、金融機関の場合は担保の要件が厳しいので、社会福祉協議会の利用のほうが現実的かもしれない。以下に東京都の例を挙げた。実家のある自治体で同様の制度がないかを探してみてほしい。

●東京都社会福祉協議会 不動産担保型生活資金貸付のごあんない

番外編:不要品の処分

一般的な賃貸住宅として貸そうとした場合にハードルになるのがモノの処分、そして改装だ。特にモノの処分は想像以上に費用がかかり、また、自分で処分しようと思うと思い出がある品が捨てられず進まないなど、活用の妨げになることがしばしば。ただ、いずれ片付けようと思っていると、どんどん億劫になり、家が傷んでしまうので3回忌までにはなどと自分なりに期限を決めて取り組む、あるいは思い切って業者に依頼するのが賢明。最近では早め、早めに老前整理としてモノの処分に取り組む人もいるが、捨てろ、捨てろと言うのは逆効果になることもあるので注意したい。

ちなみに私も2DK集合住宅の遺品処理を業者に頼んだ経験があるが、当初の見積もりは100万円近く。溜め込んでいた粗品のタオルや予備の寝具、食品のストック、新聞等の紙類が意外に高くつくことが分かり、自分で処理したが、一戸建てならそれ以上になる可能性もある。

中川寛子
東京情報堂代表、住まいと街の解説者、日本地理学会会員、日本地形学連合会員。
住まいの雑誌編集に長年従事。2011年の震災以降は、取材されることが多くなった地盤、街選びに関してセミナーを行なっている。著書に『キレイになる部屋、ブスになる部屋。ずっと美人でいたい女のためのおウチ選び』『住まいのプロが鳴らす30の警鐘「こんな家」に住んではいけない』『住まいのプロが教える家を買いたい人の本』など。新著に『解決!空き家問題』(ちくま新書刊)がある。