その3:自治体の空き家バンクに登録する
地方都市、農山村などに立地する場合には地元の自治体が空き家バンクを作っていないかを調べ、委託するというやり方もある。ただし、そこで借り手(場合によっては買い手)が見つかるかどうかは自治体の姿勢次第。ホームページを見て物件の詳細情報が載っていない、移住についての説明会などのイベントを開催していない、パンフレットやポスターなどを制作していないなどの自治体は、この先も成果が上げる可能性は低い。
その4:他者、自治体に贈与する
誰かにあげてしまうという手もある。実際、地方ではそうした事例が散見されるようになっている。特に評価額が110万円未満であれば贈与税がかからないため、もらってもらいやすい。自治体に寄贈するという手もあるが、取得自体にはお金がかからないものの、土地家屋に維持管理費がかかることを敬遠、受け取らない自治体が増えている。防災上公園を作る必要がある地域や既存の自治体施設に隣接しているなど、特殊な事情があれば受け取ってもらえるケースもあるので、とりあえずは相談してみることだ。また、まだ建物が使える状態なら、地域の社会福祉法人その他、高齢者や子供相手に公益的な事業をやっている団体に寄贈するという手もある。
その5:委託管理をして維持する
どうしたら良いかが分からない、感情的に取り壊すつもりになれない、兄弟姉妹との意見が調整できない、でも自分では面倒は見切れないという場合には放置せず、管理業者に依頼、劣化を食い止め、周囲の迷惑にならない手配をしておきたい。首都圏などであれば空き家、管理で検索をかければ、複数の事業者が出てくる。大手の不動産会社でも手掛けている会社もある。地方都市では自治体が空き家見回りなどに助成金を出してくれる例もあるので調べてみると良いだろう。
その6:家庭裁判所に申述して相続放棄する
そもそも、相続しないという手もある。相続放棄である。これは相続があったことを知った時から3カ月以内に家庭裁判所に申述することででき、専門家に依頼せずとも一般の人でも手続きできる。ただ、相続を放棄する場合には家は相続しないが、預貯金は相続したいというような財産を選択しての放棄、相続はできない。単純相続で全部相続するか、相続放棄で全部相続しないか(*)。いずれにしても、あらかじめ財産全貌を把握しておく必要がある。
*もう1つ、被相続人に債務があり、しかもその額が不明な場合に相続人が相続で得た財産の限度内で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認というやり方もある