【法則4:備える力】転職先でのあらゆるリスクを想定する

今も昔も、大手やその系列会社を希望する方は多いですね。しかし、大手といえども、業績不振で大量リストラを敢行する世の中。企業の合併・買収も多く、ある日突然、外国人が上司になるかもしれません。一方、「安定したベンチャー企業に行きたい」と言う方も多いですね。ですが、安定したベンチャー企業などありません。しかし、実際に求人があり、将来性があるのはベンチャー企業であることが多いのです。

近年、転職市場は活気づいていますが、年々転職活動は難しくなっていると感じています。企業の将来性や業界の先行きに“安定”を求めても、それがかなわないから。産業全体が右肩上がりに伸びていた時代と違い、今、実際に成長しているのはIT業界くらい。将来性のある企業が多い半面、消えていく企業も多いのが現実。また、ベンチャーのリスクは企業存続の可否だけではありません。仕事の範囲が広く、大企業なら分業しているところを、ベンチャーは自分ですべてこなさなければなりません。しかし、大企業ではできないことを経験できるので、キャリアアップには格好の場といえるのですが、それをリスクと取るか、メリットと感じるかは本人次第。リスクは万人に共通する事柄ではないのですから。

大手、ベンチャーにかぎらず、企業風土や人事制度が意にそわないことも。のびのびと働ける環境かどうかも見極めたい。自分の市場価値を上げるためにもリスクを取っていくべきですが、事前調査を怠らず、リスクを理解し、納得したうえで転職したいもの。実際は働いてみないとわかりませんが、転職する前に情報収集をしっかり行い、転職先でのリスクを想定しておくのが大切です。

高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ 代表取締役。総合人材サービスのインテリジェンスに入社。転職サポート実績No.1を記録し、独立。3000人以上の経営者には人事や経営について、8000人以上の個人にはキャリアアドバイスを行ってきた。

構成=江藤誌惠 撮影=田子芙蓉