女性だけでなく男性の意識改革も大事
さて、企業は女性を管理職として育てるためにさまざまな施策を講じているが、実際女性から「これは使える!」と思われているものはどういったものなのか。
グラフを見てほしい。「女性管理職を増やすために企業が行う施策のうち、効果があると感じるのは?」という質問の結果はご覧のとおりだ。
男女の温度差が大きく表れたのは、「女性管理職を育てるための男性向け研修等を行う」という項目。女性管理職は3割以上が選んでいるが、男性では12ポイントも低い。荒川さんは、「女性に対してどれだけ施策を打っても、現場の男性上司の意識が変わらない限り事態は動かない。男性上司向けの研修は増えてはいても、彼らが女性をサポートして引き上げるというところにまでは至らないようです」と残念がる。
また、効果があると感じる施策のうち、「ワークライフバランスのための制度を設ける」「仕事と家庭の両立支援のための福利厚生制度の充実」は女性に非常に支持されていた。彼女たちはライフイベントを企業側から支えてもらう必要性を痛感しているようだ。そうした施策を打っている企業ならまだしも、あまり力を入れていない企業では、女性が管理職への道をあきらめることになりやすいのかもしれない。
ちなみに、優秀な女性をロールモデルと規定している会社も多いだろうが、効果があると感じている女性は12%程度だ。現在ロールモデルとして高い地位にある女性たちは、男女雇用機会均等法の実施で総合職として採用され、男性同様の長時間労働をこなし、厳しい時代を「勝ち抜いてきた」世代。現在の20代、30代から見れば“スーパーウーマン”すぎて、共感が持てないのも無理はないだろう。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ営業統括部 営業1部2グループ マネジャー。2003年HRR(現・リクルートマネジメントソリューションズ)に入社。12年より女性活躍推進をテーマとした商品の開発、サービスラインアップの構築を行うプロジェクトに携わる。
イラスト=網中いづる