駅から遠い良質な保育園という穴場も

激戦区と言われる自治体で、駅からバスで十数分という認可保育園の1歳児クラスに4月時点で空きが出ていたことがありました。そこは、保育の研究に熱心な法人が運営する評価の高い園でした。

「バス便というのは、ちょっと……」と思うかもしれませんが、もしもその園のすぐ近くに住んだら、と考えると、ありえない選択肢でもないように思います。「保・住」を接近させれば、通勤は大人だけの問題になります。

家を買う前に

こうして具体的に見てくると、都心部や「住みたい街ランキング」等の上位を占めるような地域は、保育園に入りにくかったり、保育環境に恵まれなかったりする場合が多いことがわかります。

また、至便の立地の大規模マンション開発などでは、共働き世帯にうってつけの魅力的な機能がPRされることが多いと思いますが、大規模マンション開発というのは、入園事情が突然に悪くなるときの典型的な要因であることも知っておいてください。

子どもが生まれるから家を買おう、できれば新築がいい、そう考えるのは自然なことです。が、少し冷静になって情報を集めてみてください。便利さや効率性に目を奪われず、入園事情や子どもが育つ環境も視野に入れて考える必要があります。

保育園を考える親の会代表 普光院亜紀
1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経てフリーランスライターに。93年より「保育園を考える親の会」代表(http://www.eqg.org/oyanokai/)。出版社勤務当時は自身も2人の子どもを保育園などに預けて働く。現在は、国や自治体の保育関係の委員、大学講師も務める。著書に『共働き子育て入門』『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』(ともに集英社)、保育園を考える親の会編で『働くママ&パパの子育て110の知恵』(医学通信社)、『はじめての保育園』(主婦と生活社)、『「小1のカベ」に勝つ』(実務教育出版)ほか多数。