待機児童ゼロでも人気の街の入園事情は厳しい
川崎市は、2015年4月の待機児童数をゼロと発表しました。保育園を考える親の会調べの入園決定率は74.2%で71市区の平均に近く、認可に申込んだ人の4分の1は認可に入れなかったことになります。川崎市の場合は、おなかま保育室、川崎認定保育園など、市が助成する認可外に通う子どもが4228人に上っており、これらに在籍しながら認可保育園を待機していても待機児童数には含まれないことが、このような数字のギャップを作り出しています。
しかし、そのこと以上に注意が必要なのは、同じ川崎市内でも、地域によって入園事情は大きく違っているということです。たとえば、武蔵小杉駅の周辺は「住みたい街」として人気が高い地域ですが、実は保育園の入園事情は相当に悪いということが会員情報でわかっています。激戦区と言われる武蔵野市や目黒区でも、吉祥寺や恵比寿などの駅周辺が「住みたい街」に挙げられており、同様の状況があるものと思われます。人気があるということは、子育て世帯も集まってくるわけで、当然の結果と言えます。
ひとつの自治体の中でも、入りやすい地域と入りにくい地域があるということ、人気の駅周辺は極端に入園事情が悪い場合があるということも念頭におく必要があります。
待機児童対策の質にも注目
待機児童対策を頑張っていて、1年間にいくつもの認可保育園新設を発表しているような自治体は、入園決定率も改善傾向にあります。
ただし、気になるのはその中味です。保育園を考える親の会の前述の調査で、認可保育園のうち園庭がない施設が半分以上を占める自治体が、有効回答85市区のうち8市区ありました。品川区、台東区、中央区、千代田区、文京区、港区、船橋市、藤沢市です。これらの地域では、新しく整備される保育園の園庭保有率が低いため、園庭保有率が下がってしまいました。ある意味、自治体が待機児童対策を頑張っている証拠でもあるのですが、「認可保育園ならお庭があるはず」と思っていた保護者には残念な状況になっています。
これまでの「保活」では、0~1歳児期を園庭のない認可外で過ごし、入園選考の「認可外在籍」の加点をつけてもらって園庭のある認可に転園するというパターンが多かったのですが、園庭のない認可保育園がふえている現状では、それが望めないケースも多くなりそうです。3歳以降の時期にのびのびと外遊びができる環境を望むのであれば、住む場所も考えなくてはならないということです。