レンタル料金の割り引きをやめる決断
東京店は東京店で課題がありました。スタッフは、お客さまにご成約いただけるように勝手にレンタル料を安くする弱気な営業を行っていました。そこで「無理にご成約いただかなくてもいいから、お客さまによって安くしたりしなかったりするのはやめよう。ノバレーゼのドレスのよさを伝えれば絶対にお客さまはわかってくださるから」と話しました。
着任した初年度は売上目標が達成できず、スタッフはみんな落ち込んでしまいました。でも翌年は毎月、目標の売上を達成します。最初、スタッフは心の中で「少し安くすればすぐご成約いただけるのに」と思っていたでしょう。ぶれずにお客さまと真摯に向き合っていけば、想いは必ず通じるということがわかるいい経験でした。
ノバレーゼのお客さまは全員大切なお客さまだから、同じ条件で対応しなければいけません。一回安くしてしまうと、その後も割り引きを続けざるを得なくなります。それはノバレーゼの価値を下げることにも繋がります。
実は大阪店でちょっと失敗がありました。当時、大阪のお客さまは見積もりをご提示すると必ず「端数切って」とおっしゃいました。「申し訳ございません、切れません」と攻防がすごかったんです(笑)。でも一度だけ、割り引きしたことがありました。するとドレスの質ではなく安さを求めるお客さましか集まらなくなってしまったんです。ノバレーゼのドレスが着たいという方々ではありません。そのとき、変えちゃいけないことがあるんだと実感しました。
構成=Top communication 撮影=向井 渉