タイミングがつかめない場合の対処法

それでも営業先には、「受け継ぎの法則」のタイミングがつかめないほど、一方的なスピーチになってしまいがちな、「自己実現欲求」と「自己表現欲求」の強い人がいるでしょう。主に次のような特徴があるタイプです。

・アイコンタクトが強い
・何かと努力家である
・表情にメリハリがある
・声が大きい

このような人は、努力して成功しているので、自分のことを話したいと思っている場合が多いのです。そのような場合はどうすればよいのか。おもしろい研究結果を紹介しましょう。

2016年1月1日発売の新刊は、セブンイレブン限定本『できる人・好かれる人になる「見た目」と「話し方」のコツ』。図解仕立てで、34のテクニックが紹介されている。セブンイレブンと、セブンネットショッピングで購入可能。

アメリカでのメディカルパフォーマンスの研究で、医師のベックマンが行った「遮りの研究」です。彼は、医師が患者と接する時に、患者の長話をどのように聞いているかを調査しました。結果、ほとんどの医師が、患者の話を途中で遮っていることが分かりましたが、もし遮らなかったとしても、78%の患者は150秒で自ら話を止めたというのです。150秒といえば、2分半です。この研究は、営業活動における対人関係にも通じるので、クライアントが話し続けているからといって、この数分に焦ってイライラしないことをお薦めします。

営業先の相手の性格や、自己表現に対する意識、あるいはその自己表現のもとになっている自己実現欲求の強弱を、あなたがきちんと汲み取って、上手に「受け継ぎの法則」を使って発言権を得られるかどうかが、営業の成功につながります。

佐藤綾子 パフォーマンス心理学博士
常に女性の生き方を照らし、希望と悩みを共に分かち合って走る日本カウンセリング学会認定スーパーバイザーカウンセラー。日本大学芸術学部教授。「自分を伝える自己表現」をテーマにした単行本は180冊以上。新刊『30日間で生まれ変わる! アドラー流心のダイエット』(集英社刊)は9月4日発売。