子育てしながらでもリーダーはできる

LIXILでは営業や取引先から舞い込むオーダーはいったん、地域ごとの受注センターへと集められる。2013年、遠藤美菜子氏(38)は東日本住設・タイル受注センターでSV(スーパーバイザー)をしていた。

LIXIL Japan Company カスタマーサービス部パートナーサポート室 東日本住設・タイル受注センター・遠藤美菜子氏「子育てしながらでもリーダーはできる。上司に助けられながら、両立中」

受け付けた注文を確認して工場へデータを送り、商品が出荷されたら、物流へ連絡をとってお客の元へ届ける支援をするのが仕事だ。シンク一式欲しいということもあれば、ネジ1本、パッキン1つの細かな注文もある。リーダー役のSVは年ごとに変わる商品知識を頭にたたき込み、新人が入ったら、彼らが戸惑わないように気を配り、周囲の質問に答えることもしなくてはならない。統合直後は各社ごとに仕事のやり方や使う用語が違っていたりと、混乱も激しかった。

妊娠が判明し、産休に入ることになった13年12月、彼女は「このままリーダー職を続けられるのだろうか」と不安だった。それ以前はよく残業もし、時間をかけて後輩たちの悩みを聞き、食事に行くことも多かった。「復帰後に同じように働くのは難しいんじゃない?」と心配されることもあったため、SVのポジションにとどまるべきかどうかで悩んでいた。

センター長との面談では、「復帰後もフルタイムで働きたい」「今までと同じように頑張りたい」とだけ伝えた。

「じゃあ、今まで通り働いてもらうよ」と言われたときは、ほっとした。もしもこのとき、上司から「リーダーは無理だ」と言われていたらどうだったかという質問に、彼女はしばらく考えてこう答えた。

「その場合はもしかすると、今のような頑張り方はできなかったかもしれません」

15年2月に職場復帰してからは、受注センターのキッチンチームで、産休前と同じSVとして働いている。起床は午前5時。始業30分前の午前8時には出社し、メールをチェックしたり、その日の仕事を頭の中でシミュレーションしている。

保育園に子どもを迎えに行くため、午後5時半には会社を出る。後輩とコミュニケーションする時間は減ってしまったが、その分、こまめに声をかけるようになった。「直属の上司に助けてもらいながら、少しずつ両立の方法を模索しています」。

グループ内では女性有志による自主的交流活動も展開されている。遠藤氏は復帰後、この交流活動にも参加し、ランチミーティングなどを通じて同じ出産経験者と悩みを共有したり、効果的な時間の使い方について学び合ったりしている。