「好意の返報性」の循環をつくる
人はまず「感情」、次に「論理」で動く生き物です。論理が先では動きません。営業テクニックも同じです。まずスタートは「パトス」、その後「ロゴス」へ向かう手順を守りましょう。
第一印象でクラアントに“好印象”を与えたら、論理的説明に入るのが営業の極意です。「感情性(パトス)」に響けば、クライアントは心を開いてくれます。そこに人の “好意の返報性”があります。「ああこの女性はいい人だな」とうれしく感じて共感すると、自分にこの快感を味わわせてくれた人の要望に応えてあげたい、という欲求を持つからです。
反対に初対面の印象が、生意気そうに上からものを言ったり、初めから性急に資料を並べたりすると反感を持たれます。人には自分に不愉快な感情を与えた相手には、不愉快な感情を返そうとする鏡のような作用があるのです。そうすると「この人の話をもっと聞きたい」という気持ちが沸いてこなくなります。「出かけるのは何時だっけ?」とあからさまに腕時計に目を移して、あなたを追い出しにかかるかもしれません。
クライアントの手前15メートルからの「姿勢」と「動作」、さらにテーブルに向かい合って接近した時の明るい「顔」の表情で、“好感度”を最高値にして、交渉の手がかりをつかみましょう。
常に女性の生き方を照らし、希望と悩みを共に分かち合って走る日本カウンセリング学会認定スーパーバイザーカウンセラー。日本大学芸術学部教授。「自分を伝える自己表現」をテーマにした単行本は180冊以上。新刊『30日間で生まれ変わる! アドラー流心のダイエット』(集英社刊)は9月4日発売。