思考回路を変えるときが来た

では、この同じ期間に世界の国々はどうだったのかを検証してみると、お隣の韓国は2.8倍に、そして中国ではなんと7.8倍にまで大きくなっています。ならばと、日本と同じ先進国で見てみたところ、米国も英国も2倍以上になっているではありませんか。そう、この間世界はちゃんとそれぞれの巡行速度で着実に経済成長していて、主要国で日本だけが成長から取り残されてきたのです。

ということは、世界の中で日本がどれだけ相対的に貧しくなっていったかご納得いただけるでしょう。これらの現実を知れば、皆さんもやっぱり経済成長できないこと、即ちデフレがいかに深刻な病であるか、認識いただけるはずです。

デフレ経済下では物価が下がるため、相対的に現金の価値が高まります。デフレが続くと思えば、人はお金を使わなくなり、経済は縮小していきます。デフレをずっと放置し、痛み止めのカンフル注射ばかり打ち続けてきた日本政府でしたが、安倍政権は初めてデフレ病を治癒させることを最重要政策に掲げ、アベノミクスの矢を放ったのでした。

それから紆余曲折がありましたが、日本経済は今、確かにデフレ脱却の出口まで来ています。とりわけアベノミクスの第一の矢と言われる金融政策は、強引にデフレを克服するための処方を実行し、日本経済は良くも悪くも約20年ぶりにデフレ社会からインフレ前提社会へと大転換期に入ったのです。

プレジデントウーマンオンライン読者世代は、既に物心ついたときからずっとデフレ社会の中で育ってきました。ですから皆さんの思考回路はもっぱらデフレ前提になっています。ところが私たちのよって立つ社会構造がいよいよインフレ前提へと舵を取るならば、20年間当然とされてきた価値観や行動規範、あるいは常識や社会正義に至るまで、否応なしに大転換を余儀なくされることを認識するべきときが到来したのです。