指示や依頼をしても部下が動いてくれない。そんなとき“人を動かすためのツール”としておすすめしたいのが「質問」です。質問にはさまざまな力や使い方がありますが、ここではロジカルシンキングとラテラルシンキングという2つの視点から問題状況についての理解を整理し、互いの認識をすり合わせるように問いかけていくという方法をご紹介します。前回のロジカルシンキングに続き、今回はラテラルシンキングに基づく「質問」について、事例を交えながら見ていきましょう。

なぜボタンの掛け違いが起こるのか?

日々の仕事の中で、伝えようとした内容と実行された内容にズレが生じることはありませんか? 伝えたはずなのに伝わっていない、間違って伝わっている、意図とは異なる受け止め方をされてしまう。私たちが他者と協働しながら仕事をするとき、このような「ボタンの掛け違い」は単なる伝達ミスにはとどまらず、大きな問題になりかねません。

言葉としては伝わっているのに、それを踏まえて取られる行動が自分の意図したものとは 違っている。そんな「ボタンの掛け違い」を解決するには、どうしたらいいのでしょうか?

こうした状況はなぜ発生してしまうのでしょうか? それは、伝えられた情報の文脈や背景にある枠組みが共有されていないからです。残念ながら、与えられたすべての情報をそのまま受け止めることは非常に難しいことです。なぜなら人は目の前にある情報を適度に、そして無自覚に取捨選択しながら生きているからです。ですから、話し合っている内容についての土台が共有されていないと、すれ違いが起きてしまうのです。