ゲームの参加者は「男性的働き方」と、準じた働き方ができる女性という意味では、この時代、ルールは変わりませんでした。
その後は「女性に優しい企業」が登場します。総合職として採用した女性がことごとくやめていく現状ではどうしようもない。親がそばにいて「完全な育児サポート」をしてくれる人やいわゆる「スーパーウーマン」、または子供がいない人、結婚しなかった人だけが活躍できるという状況は、女性たちをキャリアから遠ざけます。
政府の声かけで、企業は競って制度を作り「くるみんマーク」を取得しました。2008年に「短時間勤務」が使いやすくなったことで、確実に正社員で第1子出生後も残留する女性は増えましたが、その内実は「マミートラックにはいったまま抜け出せない」と仕事へのモチベーションを失う女性や、「周りに迷惑だから」と自らやめていく女性も大勢いたのです。
ここではゲームの参加者の変化に合わせて、例外ルールを作ったわけです。1回休みでいいよというルールです。しかしこの「1回休み」にはゲームの本道に復帰できるルールがついていなかった。
「産む」×「働く」は実現しても、安倍政権になってから盛んに言われるようになった「活躍」というニーズには対応できません。
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)。