そもそも日本人は勤勉で「一生懸命働くことは美徳」とされてきました。しかし「仕事は最優先」で「プライベートなことを仕事に持ち込まない」「プライベートなことで職場に迷惑をかけてはいけない」という風潮こそ、今の「産みにくい」世の中の要因ではないかと思います。
ダイバーシティとは、女性や高齢者、外国人など多様な人材が職場にいるだけではありません。「仕事が一番大切な人」も「仕事以外に大切なことがある人」も一緒に働けることです。不妊治療があるから、子どもがいるから、介護があるから……仕事より優先するものがある人が職場から去らなければいけないとしたら、今後の人材不足を乗り切ってはいけないでしょう。2060年には労働力人口は今の半分になります。
「仕事以外に大切な者がある人」のわかりやすい形がワーキングマザーです。どんなに仕事バリバリで邁進してきた女性でも子供を産んだ後は、ガターンと天秤が傾くように子供サイドに針が触れる人がいます。それを見て周りは「彼女はもう仕事をおりたんだね」「変わったね」というかもしれません。
でも、彼女たちは「仕事をあきらめた」のではない。「仕事が最優先、一番大事なもの」という文化から、ふと目が覚めたのです。それで本当にいいのかと。単一の価値観しか認めない企業文化の中では「異端」になってしまうかもしれません。今企業の中で起きている文化の対立はまさにそこにあります。
しかしゲームの参加者が変われば、ルールもそれにあわせて柔軟に変わっていかなければいけません。今まではいなかった参加者を排除していけば、ゲーム自体に参加する人が減り、結局ゲームは成り立たなくなります。