「ALL THE WORLD'S FUTURS」~全世界の未来
第56回ビエンナーレの総合ディレクターは、1963年生まれでナイジェリア出身のオクウィ・エンヴェゾー氏。キュレーターであり、芸術評論家、作家、詩人というマルチな才能の持ち主です。ポスト植民地主義や政治的な問題などを扱った展覧会を数多く手掛け、現在はドイツ・ミュンヘンの美術館「ハウス・デア・クンスト」のディレクターを務めています。数少ないアフリカ出身のキュレーターとして若い頃から国際舞台で活躍し、社会的なアプローチで数々の展覧会や国際芸術祭を成功に導いてきました。
今回の全体テーマは「ALL THE WORLD'S FUTURS(全世界の未来)」。このテーマをもとに、企画展示は「リブネス:壮大な時の流れの中で」、「無秩序の庭」、「源泉:ライブ・リーディング」の3つで構成されています。
特徴の1つとして、数々の歴史的な変遷を経てきたヴェネツィア・ビエンナーレが、あらゆる領域について横断的に探求する場であることを体現するため、セントラル・パビリオンに常設の大きなアリーナ(劇場空間)が設置されています。そこではトーク、朗読や音楽、ダンスなど社会的なテーマに即したパフォーミング・アーツや映画などを常時楽しむことができます。
ディレクターのオクウィ氏は、ステイトメントの中で「グローバル化という複雑さに覆われた地球上のあらゆる場所で、深刻な亀裂が生じている。この不安定で不確定な世界において、いかにして相互に理解し、つながるのか、アートとアーティストの新しい関係性を提案し、全世界の未来を示唆することに挑みたい」と述べています。