もちろん、ジュエリーとは古来、人間が身に着けてきた贅沢品で、業界の商慣習に立ち向かうのはやさしい道ではない。しかし、社会状況が白木さんの志を後押しした。白木さん自身が胸を痛めたように、ビジネスの過程で社会貢献できる商品を買い求める「エシカル消費」を選択する消費者が増えてきたからだ。

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【写真左】素材はオニキスやアゲートのカラフルなネックレス。2万8000円(税抜)【写真右上】5枚の葉を重ねたイメージで作られたゴールドネックレス。9万円(税抜)【写真右下】ブライダルコレクションも豊富に揃う。

「とはいえ、エシカルという商品であるだけで、ジュエリーとしての価値がなければ、選んでいただけません。ですから、HASUNAがエシカルな製作過程を踏んでいるとご存じないお客さまにも、素敵ね、と選んでいただけるブランドにならなければいけない。その意味で、13年に伊勢丹新宿本店に出店できたことは大きな自信になりました」

「ファッションの伊勢丹」の新宿本店ジュエリー売り場は、多くのジュエラーが出店を希望する垂ぜんの的。バイヤーから声をかけられたとき、HASUNAの次のステージが開けたのだ。

「おしゃれでジュエリーをよくご存じのお客さまにデザインや素材の使い方が新しくて面白い、とご購入いただき、その後に私たちの社会貢献の取り組みを知っていただくケースも増えてきました」