子育て支援の後退

核家族での孤立した子育てになりがちな今の時代、生まれたばかりの赤ちゃんと1歳児・2歳児を親1人で見るというのは、なかなかたいへんです。

「保育園を利用していない家庭はそれをやっているのだから、公平にしろ」というのなら、親が働いていなくても、下の子が生まれた1~2歳児の保育園入園を認めるくらいの子育て支援をしてもいいくらいだと思います。少なくとも、家庭や子どもにとっての生活の継続性を考えれば、在園児の保育継続を保障することは、いろいろな観点から合理的です。

いまだ「母性神話」が強く、子どもが母親と離れている時間を「不幸な時間」と考えている人が少なくないようですが、質を確保した保育施設、親のワーク・ライフ・バランスが整えば、子どもは決して不幸ではありません。

親が子育てだけに追いつめられることなく、適度な密度で子どもとかかわれてこそ、子育ては本当に豊かで楽しいものとなるはずです。もっと広い視野から、子育て支援・子ども支援を考える必要があります。

保育園を考える親の会代表 普光院亜紀
1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経てフリーランスライターに。93年より「保育園を考える親の会」代表(http://www.eqg.org/oyanokai/)。出版社勤務当時は自身も2人の子どもを保育園などに預けて働く。現在は、国や自治体の保育関係の委員、大学講師も務める。著書に『共働き子育て入門』『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』(ともに集英社)、保育園を考える親の会編で『働くママ&パパの子育て110の知恵』(医学通信社)、『はじめての保育園』(主婦と生活社)ほか多数。