返還が滞ると、延滞金や法的手続きも発生!?

教育ローンと違って、日本学生支援機構の奨学金は、借りるのは学生本人。大学院などに進学してさらに勉強を続ける場合は、「在学届」を出せば卒業まで返還が猶予されます。卒業後に病気・災害・収入が少ないなどの事情で返還が困難になった場合は、願い出れば、毎月の返還額を半分に減らして返還する制度や、一定期間返還を猶予する制度もあります。何の願いも出さずに約束の返還日を過ぎると、利息のほかに延滞となった割賦元金に対して、年あたり5%の割合で延滞金が課されます。また、連帯保証人や保証人に請求することや、法的な手続きをとることにもなってしまうので、責任を持って返還しましょう。

最後に、日本学生支援機構の新たな取り組みをいくつかご紹介します。

通常の在学採用の申込時期の4~7月でなくても、家計の急変などに対応して年間を通じて申し込める「緊急採用(無利子)」や「応急採用(有利子)」を実施しています。

また、意志ある学生が安心して教育を受ける環境を整備するため、年収300万円以下の低所得世帯の学生を対象として、「所得連動返済型の無利子奨学金制度」が作られました。これは、「第一種奨学金」のなかに設けられた制度で、奨学金の貸与を受けた本人が、卒業後に一定の収入を得るまでは返還期限を猶予するものです。

保護者は早めに教育費の目途をつけて、子どもたちの次のステップに向けたがんばりを応援してあげましょう。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。