世帯年収1000万円以上の家庭でも、経済的・精神的負担を抱えている人たちがいる。そうした夫婦の相談を数多く受けてきたオンライン投資スクール「Global Financial School」校長の市川雄一郎さんは「都心のタワマンに住み、子ども2人を私立に通わせようとすると、自分たちの老後が破綻する可能性もある」という――。
この街はとてもきれいに見えます
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タワマン、お受験、周囲との競争で家計破綻の危機に突入

「夫婦で働き続ければなんとかなる」と、35年ローンで手に入れた憧れの東京・渋谷の新築タワーマンション。共働きを続け、子ども2人を育てながら自分の思い描くような家庭を築いてきたK子さん(36歳)だが、最近はそこはかとない将来への不安が心に広がっていると漏らす。

きっかけは有名私立小学校へ通う長男のママ友からしきりに「○○ちゃんもここに入学させるの? それともお嬢さま学校の○○に?」と聞かれるようになったこと。

近隣には有名私大や国立大の付属校が点在し、同じマンションや保育園でも教育熱心な家庭が多かった。引っ越してきた当初からそんな周囲に触発され、競うように長男の“お受験”に力を入れ、見事、めざす小中高・大学までの私立一貫校へと入学させることができた。

大手メーカーに勤める夫(40歳)は年収800万円以上、事務職のK子さんは350万円ほどだが、世帯年収は1000万円を優に超えている。だが、自分の給料の大半は子どもの習い事や塾代、ベビーシッター費用に消えてしまう。習い事の付き添いをするときは、ママ友たちが見つけてくるおしゃれなカフェで過ごし、交際費もかなりの額だ。「仕事もしていないのに、なぜこんなに優雅に暮らせるのだろう……」と、ママ友たちと自分を比べては自己嫌悪に陥る。夫の給料は生活費と住宅ローンに回しているが、車好きの彼が週末に乗るマイカーの駐車場代や維持費もかさむ。毎月の家計は決して楽ではなかった。

長男に続き、下の娘も私立校へ入れたら、この先教育費はどのくらいかかるだろう。背伸びして買ったマンションのローンはあと30年近く払い続けなければならない。思うように貯蓄もできないもどかしさもあり、K子さんの心配はますますつのる。

「はたしてこのまま家族の生活を維持していけるのか。ママ友たちに『娘は公立に』と言えずにいるのも苦しい。子どもの教育だけじゃなく、私たち夫婦の老後も考えなければならないけれど、まったくお金を貯められない……このままでは家庭だけでなく、私の人生そのものが破綻しそうで不安でたまらないのです」