ムダを把握するには家計の洗い出しは必須
K子さんは悩んだ挙げ句、夫を伴って来談されました。家庭のお金に関する相談を受ける際は、夫婦で来てもらい、家計の中身を洗いざらい全部話してもらうことから始めるのが基本です。夫婦それぞれ異なる意見があると思うので、ウソ偽りなく話していただいたうえで、問題点を少しずつ整理していく。そうすると自分たちが気づいていなかった問題点が必ず出てきます。
家計の洗い出しをしたところ、K子さんの場合は母親同士の交際費が非常に多かったので、こうした無理な付き合いを減らしていく決意が必要だとアドバイスしました。また、夫の趣味の車は、週末に乗るだけなのに高い駐車場代と維持費がかかっていました。月に数回乗るだけならレンタカーを借りれば、ローンや維持費を節約できます。「ママ友との関係を悪くしたくない」「レンタカーは対面的にちょっと……」などと言っているうちはお金も貯まりません。
さらに生命保険、学資保険、損害保険などなど、家族に掛けている保険の見直しもアドバイスしました。これはK子さんのケースに限らず、誰にとっても必要です。過去に相談を受けた事例では100点といえる家庭は一軒もなく、ムダな保険に入っているケースも見受けられました。医療保険の保障が重なっているなど、内容をよく把握せずに勧められるまま複数入っているケースが多いのです。保険は一回入ってしまうとそのまま見直しをしない人もいますが、年に一度はどういう保険に入っているかを確認したほうがいいでしょう。そもそも保険とは、出産や転居など家族の生活環境が変わったときに保障の内容を見直すべきものだからです。
また、35年ローンの返済プランの見直しも提案。住宅ローンは、初期の段階で繰り上げ返済をしていくことが大切です。毎月の返済額の目安は貯蓄できるぐらいの金額が適正で、どんなに多くても年収の30%程度に抑えましょう。元利均等でローンを組むと、最初の10年ほどは利子分だけ払っている状態ですから、繰り上げ返済をして利息の負担を減らし、元本を早めに返したほうが得策なのです。
そのうえで今度は資産設計をすることをお勧めしました。K子さんの家庭はこのままいけばおそらくあと10年ほどで家計が逼迫することが予想されました。大学進学を前に子どもが私立校をやめなければいけない状況も危惧されます。支出が削れたぶんは貯蓄に回せますし、基本的に長期的な運用をしていけば、リスク性がある金融商品でもそんなに心配するようなことはないので、少しずつシフトしていくといいのです。
家計管理をしていない家庭では、日常生活を当たり前のように送っていると支出のムダに気づかないケースが多い。例えば、家族全員のスマホもプランを見直せば、月額を抑えられます。家計を見直しながらちょっとしたムダを削っていくことが大切なのです。