東日本大震災による死者と行方不明者は計2万7668人、うち岩手、宮城、福島の三県では1万1706人の検視を終えたものの、依然2116人の身元が不明のままだ(4月5日現在)。厚労省はすでに、墓地埋葬法に基づく許可証がなくても埋葬を認める方針を決定。国は「歯型やDNA型などを保存し、後々検証できるようにする」と説明している。

震災の翌日、法医学教授をはじめとする6名のチームが警察車両に乗り込み、12時間かけて被災地へと向かった。その一人で歯科法医学者の斎藤久子氏(千葉大学大学院法医学教室)が語る。

「私たちは陸前高田市の米崎中学校で検視作業に当たりました。ご遺体が続々と運ばれてきたので、後で身元を照合できるよう、死後硬直で硬くなった口を開口器で開け、治療痕などをデンタルチャートに記録しました。ポータブルレントゲンも持参しましたが、停電で使えず、デジカメで遺体番号を記録し、上顎・下顎の咬合面、治療痕、入れ歯などを、一体一体、細かく撮影していきました」