【柴門】家庭に入った友人は、食卓におかず5品が並んでいないと、旦那さんに文句を言われるんですって。腹は立つけれど、離婚したら今の生活水準は維持できないから、5品をつくるしかないと愚痴ってますよ。

【林】愚痴を言うくらいなら仕事は続けたほうがいいと思う。逆に、仕事のために結婚・出産を諦める必要もない。

【柴門】人間って自分がイメージしたことしか実現できないんですよね。だから、諦めたらおしまい。

【林】私だって結婚したくて、子どもがほしくて、ものすごい努力をしたから。特に出産はタイムリミットがあるので、子どもだけ産んで結婚は後回しにするのだってありかもしれない。

【柴門】そういえば、リカは結婚せずにシングルマザーの道を選んでいる。

【林】働く女性には、今こそ赤名リカのエネルギーを! ってことね。

【柴門】そう、欲張りになってほしいわ。

柴門ふみ(さいもん・ふみ)
1957年、徳島県生まれ。79年「少年マガジン増刊号」にてデビュー。『あすなろ白書』などのヒット作を世に送り出す一方、『恋愛論』などエッセイも評判に。「サンデー毎日」で連載中の「解剖恋愛図鑑」では働く女性のリアルをルポ。3月に単行本を発売予定。81年、漫画家の弘兼憲史と結婚。1男1女の母。
林 真理子(はやし・まりこ)
1954年、山梨県生まれ。コピーライターとしてスタートを切り、初のエッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。作品のテーマは幅広く、2月には『小説源氏物語 Story of Uji』を上梓予定。90年に結婚。44歳で長女を授かる。

撮影=松本昇大