【ケース2】友人の会社で翻訳を手伝ったB美さん

英語が堪能なB美さんは、会社を経営する友人に頼まれて自宅で翻訳作業を行い、25万円の報酬をもらいました。報酬からは源泉徴収されています。B美さんはこの翻訳のために新しい辞書と専門書を何冊か購入、交通費も含めて計10万円の経費がかかりました。

会社員が原稿料や講演料などを受け取った場合は「雑所得」という所得になり、B美さんが受け取った翻訳料もこれにあたります。雑所得は収入から必要経費を引くことができるので、「25万円-10万円=15万円」が所得になります。会社員のB美さんなら、所得が20万円以下なので確定申告する必要はありません。

こうしたケースで、もし所得が20万円を超えていたら確定申告が必要です。友人の会社から受け取った支払調書(報酬の支払金額と源泉徴収税額が記載されている)と、勤務先から受け取った源泉徴収票(給与の支払金額や控除額、源泉徴収税額が記載されている)を用意して、雑所得と給与所得の申告をしてください。

なお、支払調書は源泉徴収票とともに法定調書とよばれる書類の一つで、報酬を支払った会社から税務署にも提出されます。

【ケース3】夏休みと週末にレストランでバイトしたC代さん

旅行代を貯めたいC代さんは昨年、夏休みと週末に親戚のレストランでアルバイト。給与からは源泉徴収されていて、源泉徴収票によると昨年の給与は計25万円です。

会社員が2カ所以上から給与を受け取った場合は原則として確定申告が必要ですが、本業でない勤務先からの給与が20万円以下の場合は確定申告が不要とされています(ほかにも本業以外の収入があるときは合計して20万円以下)。

C代さんはバイト先から25万円の給与を受け取ったので、「給与所得」として確定申告が必要です。確定申告をするときは、バイト先から受け取った源泉徴収票と勤務先から受け取った源泉徴収票の2つを用意、それぞれの給与収入(「支払金額」の欄)を合計した額が昨年の給与収入になります。

【ケース2】の雑所得では収入から必要経費を引いた額が所得ですが、給与所得では必要経費の代わりに「給与所得控除」を引いた額が所得になります。「給与所得控除」は収入額によって変わるので、国税庁のホームページなどで確認しましょう。