東京を一歩出ると専業主婦が当たり前

まさに今、女性活躍推進やダイバーシティ担当の当事者の声を代弁しています。特に「昭和的雇用環境」「性別役割分担」が根強い関西では問題が浮き彫りになります。関西に行くと、というよりも東京を一歩出ると、「妻は専業主婦が当たり前」という風潮がまだ日本の主流なのだと感じます。

「どうしたら、上司に男性の育児参加への理解を促せるのか」という課題に関して、それぞれの会社の事例にとどまらず、「うちは、私が倒れたとき夫の上司が親身になってくれた。伝え方もあるのかもしれない」という本人の経験談も披露されます。

昭和の雇用環境のままの会社では、制度もダイバーシティを阻害しています。ある会社では、就学前の子どもがいる男性の単身赴任手当がでない。これは子どもが小さなうちは一緒に転勤するべきという考え方からきているので廃止したそうです。しかし転勤の多い企業の男性は、奥さんがほとんど専業主婦。関西のワーキングマザーの環境は、まだまだ厳しい風土との闘いの連続という印象でした。

見直してみると、こうした「片働き」「妻は専業主婦」「子育ては妻がやるべき」を前提とした会社の制度は多い。政府の「シングルマザー政策」も実は「戦争未亡人」の域を出ていないものも多いのです。風土も制度も両輪ですから、読者の皆様の会社も、制度の総点検をされてみるといいかもしれません。

ほかにも「周囲の理解不足で本人がキャリアをあきらめそうなケース」「夫が単身赴任」「復帰時に期待してくれていた上司が異動、本人も不本意な部署への復帰になったケース」などが検討されていました。こうしたケースはチームで解決策を検討し、蓄積し、それぞれの会社の研修などに生かされる。