介護丸投げ派は、介護保険支給制度にも無知

親が要介護と認定され、介護保険が適用されるようになると、さまざまな介護サービスが1割負担で利用できるようになります。しかし、案外知られていないのは1割負担で受けられるサービスが要介護度によって限度があることや、介護保険の「単位」の計算がどのように行われるのか、知っている方は少ないのではないでしょうか。

介護が始まる時、ケアマネージャーがその説明を簡単にするのですが、私などは目の前の介護のことで頭がいっぱいで耳に入ってきませんでした。介護が終わり、介護の問題に関心を持つようになって「単位」や利用限度のことがわかってきたというのが実情です。

長い期間に渡って介護をしている人は単位のことも理解するようなるでしょうが、やる気のない人はそんなことを学ぶ意識もないわけで、どれだけ多くのサービスを受けても1割負担でいいと思っているはずです。

ここで介護保険の「単位」について簡単に説明しておきます。介護保険による支給限度額(月額)は「単位」で表わされます。その単位数は現在、こうなっています。

要支援1=4970
要支援2=10400
要介護1=16580
要介護2=19480
要介護3=26750
要介護4=30600
要介護5=35830

基本的にはこの単位に10円をかけた額がひと月あたりの支給限度額です。

要介護3と認定された私の父の場合は、26750単位×10で26万7500までが支給限度額で2万6750円が自己負担額。この「単位」を超えるサービスを利用した場合、1割負担ではなく全額負担になります。

(余談ですが、「だったら最初から10をかけて金額で表わせばいいじゃないか。なんで「単位」なんて解かりにくい言い方をするんだ」という人がいるかもしれません。しかし、厳密にいえば加算額が地域によって微妙に異なるのです。たとえば1級地=11.26円、2級地=11.05円といった具合。地域によって物価や人件費が異なるため、「単位」に地域別の加算をし補正しているわけです)。

「単位」はサービスの内容や所要時間、サービス提供者の人数、利用する時間帯などによってさまざまです。うちが利用したサービスを例にとると、まず訪問看護師が「30分以上~1時間未満」の利用で834単位、2人以上の看護師さんに来てもらっていたので、これに402単位が加わり1236単位(夜間や早朝、深夜の場合はさらに加算される)。

訪問看護師には週に2回来てもらっていたので、月にすると8回。上限の26750単位中、訪問看護師のサービスだけ(1236×8)で9888単位くらいが費やされることになります。この他にも、訪問入浴とホームヘルパーを週1回ずつ、介護用品のレンタルも利用していたので、要介護3の上限単位の半分くらいは利用していたと思います。