あてにならない含有量の表示

また、社会的信用を確立できていない要因として、サプリメントの質がメーカーなどによって“玉石混交”であるという現実も大きく影響しているようだ。大手食品メーカーが続々と参入する一方で、トラブルを起こす悪質な業者も後を絶たない。サプリメントは食品扱いで、商品に表示されているビタミンなどの量が実際に含まれている量と違っていても、法的に問題とされない。サプリメントを作る際、計算上1カプセル当たりに含まれる“仕込み量”であればいいからなのだ。

「質の高いサプリメントは原価も高く、それなりの売価になります。極端に安いサプリメントの場合、効果は期待しないほうがいいでしょう」と溝口院長は指摘する。ただし、価格が高いからといって、質も高いとは限らない。あるメーカーは、「医師も使用している」という触れ込みで、高価なサプリメントを販売していた。しかし、表示していた栄養が全く含まれておらず、後に調査でそのことが発覚して行政指導を受けた。

ビタミン剤や鉄剤のように、保険適用となっている栄養素も一部にある。ところが、保険が利くものであっても、必ずしも有効とはいえないのが実情だ。たとえば、オーソモレキュラーで鉄欠乏の治療に使われる「ヘム鉄」は、保険適用の鉄剤には含まれていない。ヘム鉄はレバーや貝類などの動物性食品に含まれる鉄化合物。一方、保険適用の鉄剤に含まれているのは「非ヘム鉄」のみ。ヘム鉄に比べて吸収が悪く、女性が服用すると、悪心、おう吐などの胃腸障害や便秘といった副作用も起こりやすいという。

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サプリメントの裏ラベルはここをチェック!

自分で市販のサプリメントを買うときは、「成分などが表示されている、商品の裏ラベルをチェックすることも、サプリメント選びのコツ」と、溝口院長は助言する。サプリメントの原材料は、ふつう重量の比率の大きい順に表示されているからだ。

本来であれば必要な原材料が初めに記載されるところが、製品によってはブドウ糖、果糖、液糖など味の調整に使われるものが先頭に書かれていたりする。また商品の名前にはサメ軟骨と書かれているものでも、実際の原材料には海洋生成物由来のものが検出できなかった例などもあり、業界自体で規制と基準を設ける動きが出てきている。

つらい症状を改善するためなど、積極的な健康レベルの向上を目的にする場合には、信頼できる医療機関が推奨するサプリメントを選択するのが賢明であるといえるかもしれない。