自分の未熟さを痛感
私は上司に対しても、リサーチは自分のほうがよく知っていると思っていましたが、一方で、この先マーケッターとして生きていくなら、学問としてのマーケティングの専門知識が必要だと思い始めていました。自分が次のステージに進むための勉強をする必要があると思ったのです。
いまはありませんが、その頃は社内留学制度がありましたので、これはチャンスだと思い、神戸大学でMBAを取る機会をもらいました。それに伴って所属も東京本社から当時の近畿カンパニーに移してもらいます。
ビジネススクールに行き、「世間にはこんな素晴らしい人たちがいっぱいいるんだ」「自分は井の中の蛙だったな」と目が覚めました。私は30歳を過ぎたところでしたが、周りは40代の人も多く、マネジメントの経験が豊富な人がたくさんいます。その人たちから自分の考えの浅さを思い知らされました。また、ゼミの研究で「マネジメントは管理することじゃない。部下の能力をいかに引き出すかだ」と気づき、自分の未熟さを痛感したのです。
1年半仕事を外してもらい、MBAを取ったあとにカルビーに帰るときは、マネジメントが変わったかは私自身にはわかりませんが、上司が言うことを理解できるようになっていました。いま振り返っても、自分は嫌な部下だったなと思います。