「働かないオジサン問題」も根っこは同じ
それは、60年代に社会学者の中根千枝氏が日本社会は「タテ社会」であると指摘した現象が、いまだ根強いからではないでしょうか。
中根氏によると、西欧社会は社会集団の構成の要因が資格(=構成員に共通したもの、具体的には氏・素性、学歴、地位、職業など)によるもので決まるのに対し、日本社会は場(一定の職業集団、所属機関、地域など)でその構成がなされるといいます。
だからこそ、その中での序列が重要なのだとも。そして、序列を決定する基準は、集団の中での経験が重視され、従って、日本では年功序列が長年採用されてきたのです(「働かないオジサン問題」は、「タテ社会の構造」にこそ原因がありそうです)。
つまり、日本人、特に組織人としての経験の長い男性は、ほとんど本能レベルで、「場」に執着する。それゆえ、その「場内」での序列に敏感なのです。よって、他の組織の人間からしたら、まったく意味不明な少しの序列の差を巡って競いあったり、勝ち誇ったり、あるいは自分より少しでも序列の高い人には思考停止状態で追随したりするのではないでしょうか。