会社員なら財形貯蓄を利用しよう

財形貯蓄は、法律に基づく福利厚生制度の一つで、勤務先がこの制度を導入していれば利用できる。この制度のある会社は多いから、一度ぐらいは案内を目にしたことがあるのでは? 「覚えがない」という人は、とりあえず周囲の人に聞いてみよう。

財形貯蓄をひと言でいえば、会社経由で金融機関に積み立て貯金をする仕組み。会社は毎月の給料から積み立て額を天引きして、金融機関に払い込む。申し込みも解約も会社を経由して行う。積み立てする金融機関は、会社が提携している銀行、保険会社、証券会社などの中から自分で選ぶ。会社によっては利子に上乗せしてくれることもあるので、詳しいことは会社の総務部などで聞いてみるといい。

なお、財形貯蓄と混同しやすいのが「社内預金」。給与天引きで積み立てるところは似ているが、社内預金は積み立てたお金を会社が預かる形だ。だから、会社が倒産したら社内預金は返ってこないこともある。財形貯蓄は会社経由で金融機関に預ける仕組みなので、もし会社が倒産しても、貯金がなくなることはない。その点で、社内預金より財形貯蓄のほうが安心だ。

「財形住宅」「財形年金」「一般財形」どれを選ぶ?

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3つの財形貯蓄の違い

財形貯蓄には、表のように「財形住宅」「財形年金」「一般財形」の3種類がある。このうち「財形住宅」と「財形年金」は目的限定タイプ。この2つを合わせて残高550万円までは利子が非課税になるメリットがある(目的に合わない解約のときは過去5年間分の利子に課税)。また、どちらも一部引き出しはできない。一方、「一般財形」は目的自由のタイプで預け入れ限度額はない。利子非課税のメリットはないが、始めてから1年経てば自由に引き出せる。なお、3つのうちどれを選んでも、住宅購入時に融資を受けられる仕組みがある。

30代の春美さんが選ぶなら「財形住宅」か「一般財形」。「財形住宅」は利子が非課税になるものの、現状の超低金利では魅力が薄い。とはいえ、5年、10年といった長期で積み立てるものなので、先々のことを考えれば特典はないよりあったほうがいい。一方、「一般財形」は一部引き出しができるので、ほかに貯金があまりない人は、まずこちらから始めてもいいだろう。