営業と一緒に走る存在になりたい
保育・教育・療育施設の業務支援ツールとして、また施設と家庭を結ぶ連絡ツールとして、国内トップシェアを誇る「コドモン」。保育園に通う子どものいる家庭では、朝起きて真っ先に開くアプリが「コドモン」という人も少なくないだろう。
そのコドモンで、営業活動を支える「営業デスク」チームを立ち上げたのが、木島明日香さんだ。現在はチームのマネジャーとして、営業担当者が商談に集中できる環境づくりや業務フローの改善に取り組んでいる。
「入社時の配属は、営業部。誰か一人、営業を補佐する人がいたほうがいいだろうということで、“営業アシスタント”として採用されたんです。アシスタントというと、営業担当者から指示や依頼を受けた仕事をこなす役割、というイメージがありますよね。私はそこを超えたくて。営業担当の後ろでボールを拾うだけでなく、一緒に走る存在になりたかったんです。私も営業をやっていたし、やりたかったので」
実は木島さんには、志半ばで営業職を離れざるを得なかった過去がある。
さかのぼること十数年前。木島さんは、広告代理店で雑誌広告の営業担当をしていた。成果が数字に表れる仕事は楽しく、自分に向いていると感じていたという。ところが、妊娠をきっかけに、キャリアは思いがけない方向に進んでいく。
妊娠の報告に「お客さんはどうするの?」
「妊娠初期からつわりが重く、会議中に気持ちが悪くて席を立ったりと、仕事にも影響が出てしまって。妊娠を伝えた時の社長の反応は、『どうするの?』。担当するクライアントはどうするのか、という意味でした。私は、『申し訳ありません』『ご迷惑をおかけしないように頑張ります』としか言えなくて。会社には女性社員が少なく、結婚したら退職するのが当たり前。妊娠・出産を経て働き続ける女性はいませんでした」
つわりによる遅刻や欠勤が続くと、社長から時給制への変更を持ちかけられた。
「『この状態が続くなら、給料を全額払うことはできない。時給制になってほしいんだけどどう思う?』と。私の意向を聞く質問ではありましたが、断る余地のない打診に思えて、その場で『わかりました』と承諾しました」
後に公的機関に相談したところ、「意向を確認する質問に承諾した場合は、双方が合意したうえでの変更とみなされる」との説明を受けたという。
「ここでもまた自分を責めて落ち込みました。妊娠して会社に迷惑をかけている自分が悪い、よく考えずに受け入れた自分が悪い……」
産休や育休に伴う会社側の費用負担や手続きについても、木島さん自身が調べ、社長に説明したという。従業員十数人の小さな会社で、人事や労務の専門担当者もいなかった。
「会社にどんな負担があるのか調べてほしいと言われたので、自分で調べて説明しました。そうしたら『負担がないならいいよ』と」