加齢による不妊治療が世界一多い理由
その彼女たちがみんな口をそろえて言うのは「いつ妊娠しても不利にならない世の中になってほしい」ということ。
「仕事をしたかったら、ちゃんと妊娠しないようにしなさい」「仕事があるのに、子どもをつくってしまうなんて、けしからん」というのは、安藤美姫さんが25歳で出産した時、散々言われたことです。
しかし25歳といえば「妊娠に最も適した時期」ど真ん中です。
そもそも妊娠と仕事は対極にあるもの。妊娠とはいくらコントロールしてもしきれない神様からの贈り物であり、キャリアはコントロールしていくものです。
この連載もそうですが、「産む」×「働く」という、対極のものを一緒くたに考えること自体が、本当は無理なんですね。
「いつ産んでもおかしくない」女性たちが、今までは無理やり出産の時期を仕事に、会社の都合に合わせてきた。そろそろ、そんな無理は限界です。だから、加齢による不妊治療が「世界一多い国」になってしまうのです。
ユニ・チャームの制度は「入社時期は30歳を上限として、個別に相談」となっています。入社した時点からが新人の扱いです。私もかねてから「子育て後新卒」があってもおかしくないと思っていました。別に30歳の新人がいてもいいじゃないですか?
え、おかしい? 何がおかしいのでしょう?
日本のように仕事と年齢が関連している国は珍しい。海外なら、入社時期も経験も年齢も結構バラバラです。新卒採用で、1年ずつ、横並びに経験を重ねて行くのが当たり前になっているから、出産、子育てのブランクが「取り返しがつかない」ことになってしまう。内定時に妊娠してしまうと、断腸の思いでどちらかをあきらめなくてはいけない。
仕事も大事ですが、子どもがほしい人にとっては妊娠も大事です。
どちらも大事にできる世の中になってほしい。
今後はこのあたりをないがしろにする企業には、良い人材は集まらないと思います。