小型爆弾を積んだ低コストのドローン

FPVドローンは偵察ドローンで捕捉した目標へ短時間で突入するため、従来は高価な対戦車火器や精密誘導弾に頼りがちだった局面でも、数百ドル級の機体が大きな損害を与えうる。こうした運用が一般化するにつれ、ウクライナ軍ではドローン運用が部隊編制としても組織化され、旅団ごとに攻撃ドローン部隊を持つといった形で「ドローンが前提の戦術」へと移っていった。

これに対し、ウクライナ軍もロシア軍も妨害電波による無力化を図った。するとそれに対して、光ファイバーで有線接続されたFPVドローンが出現した。光ファイバーは電波を使わないため、妨害電波を無効化できるからである。もちろん光ファイバーの長さには限界があり、現段階では数十㎞ほどまでしか飛ぶことができない。しかし逆に言えば、この範囲においては戦場は「透明化」されており、「上空に常に目があり、接近すれば短時間で攻撃が飛んでくる」状況となってしまっている。

迷彩パックに載ったウクライナの fpv ドローン
写真=iStock.com/Mr-Tigga
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光ファイバーの届く範囲がキルゾーン

このエリアは「キルゾーン」とも呼ばれ、両軍とも陸上部隊の機動・補給・火砲運用は絶えずドローンからの攻撃の脅威にさらされている。この「キルゾーン」は既にドローンが支配する戦場となっており、言葉を換えるなら戦場が「無人化」されているのである。

より細く軽い光ファイバーを使うなどしてドローンを有線制御できる距離が延びれば、この「キルゾーン」はさらに広がっていくとみられる。このことが示唆するのは、もはや第二次世界大戦の「電撃戦」のように機甲部隊を使って敵の戦線を突破していくのは不可能になりつつあることである。

 ウクライナで使用されている有線ドローン兵器のイメージ
ウクライナで使用されている有線ドローン兵器のイメージ、Geminiを使って編集部作成

経済力や若者の命を削り合う戦い

このことは、ロシア・ウクライナ戦争の決着が戦場で付く可能性を極めて低くしている。

もはや、敵の主力を戦場で殲滅するとか、敵の首都を占領して降伏させるみたいなことは想定できない。いまロシア・ウクライナ戦争の最前線で起こっていることは軍隊同士の戦いだが、実際には相手の国力、具体的には経済力や若年人口を削り合う戦いなのである。