こんな子育てのかたちもある
不妊治療をあきらめた女性が以前言っていました。
「子どもの虐待死などのニュースを観る度に、なぜ私のところに産まれてきてくれなかったの? と情けない、やるせない気持ちがおさえられないんです」
しかし、産まれてこなかった運命だったとしても遅くはない。世の中には「育てられない人」がいて、「育てたい」と思う人たちがいるのです。双方ニーズがあるのに、マッチングのシステムが人出不足、資金不足で機能しないのはあまりにも悲劇です。愛知方式が全国に広まることを願わずにはおられません。
ドラマ「明日、ママがいない」を見て、また不妊治療をしながら関心を持ったら、ぜひ「児童養護施設にいる」子どもたちにも目を向けてほしいと思います。
彼らのためにできることはたくさんあります。直接知っている人がやっている試みを紹介しておきます。
18歳になると子どもたちは施設から出て自立しなくてはいけません。その旅立ちを支援する団体「カナエール」 http://www.canayell.com/lp/
児童養護施設の子どもたちを応援するクラウドファンディングの仕組みを作った「Living in Peace」 http://www.living-in-peace.org/chancemaker/result/
ファザーリングジャパンをつくった安藤哲也さんが取り組む「タイガーマスク基金」 http://www.tigermask-fund.jp/
などです。いずれも継続的な寄付でさまざまな支援をすることができます。私も子どもがいない未来を悲観することはありますが、このような試みを応援することも「自分なりの子育て」なのかもしれないと思っています。
少子化ジャーナリスト、作家、昭和女子大女性文化研究所特別研究員、大学講師
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)。